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吉田カバン「TANKER」を魅せた、エレクターの移動ストレージユニット

オープンまで、あと3時間。

2026年4月15日(水)から4月28日(火)まで、伊勢丹新宿店 メンズ館1階 ザ・ステージで開催された「TANKER LIMITED STORE」。

オープンを控えた店内では、吉田カバンの社員たちが最後の調整を続けていました。オレンジ色のシェルフに並べる生地ロールを、一本ずつ巻き直していきます。理由は、生地ロールの高さを揃えるため。棚と棚の間にきれいに収まり、並んだときの高さが揃うように。オープンが迫るなかでも、細部まで整えていきます。

高さを揃えて展示された生地ロール

高さを揃えて展示された生地ロール

そして迎えたオープン当日。店の前には開店前から人が並び、入場制限がかかるほどの列ができました。来場者を迎えた店内には、世界各地を巡って日本へ戻ってきたオレンジ色のエレクターシェルフ。そして空間の中心には、ゴールドのシェルフを載せた「移動ストレージユニット」がありました。

ゴールドのシェルフを使用した「移動ストレージユニット」

移動ストレージユニット

2024年、「ALL NEW TANKER」プロジェクトとともに始まった吉田カバンとエレクターの仕事。あれから約2年。エレクターシェルフの使い方は、また一つ先へ進んでいました。

90周年の最後に、TANKERへ

2024年春、吉田カバンとエレクターはフルリニューアルする「TANKER」の発売に合わせ、オレンジとゴールドの特注カラーのエレクターシェルフを製作しました。バッグの大きさに合わせて棚の高さを変えられること。イベントなどへ持ち出した際に組み上げやすいこと。そんな要望から始まったプロジェクトでした。

■前回の記事:吉田カバンのバッグが映える特注カラーのエレクターシェルフ

2024年春に製作したオレンジとゴールドの特注カラーエレクターシェルフ

完成したシェルフは国内だけにとどまらず、海を渡りました。パリ、ベルリン、ニューヨーク、ソウル、香港、バンコク。解体して運び、現地で組み上げる。会場が変われば、その場所に合わせて形を変える。そして今回、そのシェルフの一部がヨーロッパから日本へ戻ってきました。

舞台は、再び伊勢丹新宿店。2025年に創業90周年を迎えた吉田カバンが展開してきた「90th Anniversary Project」のファイナルコレクションの発売です。「TANKER COYOTE」をはじめ、TANKER全120アイテムを一堂に展開。

オレンジのエレクターシェルフに展示されたTANKER COYOTE

TANKER COYOTE

100%植物由来ナイロンを採用したTANKERの魅力だけではなく、吉田カバンのものづくりや考え方、取り組みまで伝える。その発信の場としてつくられたのが、「TANKER LIMITED STORE」でした。

「これはなんだ?」から、その先へ

今回のTANKER LIMITED STOREには、これまで国内外で開催してきたTANKERのイベントにはなかったものが取り入れられました。

TANKERに使用している生地をロール状にしたもの。壁面デザイン。そしてのエレクターの移動棚。

正面ウィンドウに展示された生地ロール

正面ウィンドウに展示された生地ロール

これまでとは違う方法で、TANKERと吉田カバンのものづくりを伝えようとした空間です。なかでも正面ウィンドウで目を引いたのが、オレンジ色のシェルフに配置されたTANKERの生地ロールでした。製品になる前の生地そのものを、ロールの状態で見せる。吉田カバンが意識したのは、ウィンドウ越しに見たときの第一印象です。商品、素材、什器。それぞれが美しく見えること。

そして、生地だけの状態が持つインパクトによって、「これはなんだ?」と興味を持ってもらうこと。しかし、足を止めてもらうことだけが目的ではありません。TANKERに使われている素材そのものを見てもらうことで、完成したバッグだけでは伝わらない、その背景にあるものづくりまで知ってもらう。

TANKER LIMITED STOREは、商品を販売するだけではなく、100%植物由来ナイロンへと生まれ変わったTANKERの魅力や、吉田カバンのものづくり、考え方、取り組みまで発信する場所としてつくられました。

原材料からカバンになるまでの過程を説明した展示
原材料からカバンになるまでの過程を説明した展示

原材料からカバンになるまでの過程を説明した展示

「これはなんだ?」は、その世界へ入ってもらうための入口でした。実際、正面ウィンドウや店内全体、TANKERのロール生地を写真に収める来場者も多かったといいます。

世界を巡っても、同じTANKERを伝えられる

今回使われたオレンジ色のシェルフは、このイベントのために新しくつくられたものではありません。2024年、生まれ変わった「TANKER」の発売に合わせて製作され、その後、国内外のさまざまなイベントでTANKERとともに使われてきたシェルフです。

世界各地で使用されてきたオレンジのシェルフ

世界各地で使用されてきたオレンジのシェルフ

国も、会場も変われば、売場の広さや形も変わります。それでも同じシェルフを解体して運び、現地で組み上げ、会場に合わせて形を変えてきました。

場所に合わせて形を変えても、同じイメージで使用できるところが、エレクターシェルフを使っている理由です。これは、単に什器を繰り返し使えるということだけではありません。異なる国、異なる会場でも、TANKERを見せる空間として同じイメージを保つことができる。オレンジとゴールドという色も、ブランドや商品を象徴するような記号として、各地の会場で使われ続けました。

さらに、何度も解体し、輸送し、組み立てる。海外を巡って日本へ戻ってきても、再び使うことができる。吉田カバンがエレクター製品の魅力として挙げたものの一つが、この「丈夫さ」でした。一度つくって終わる什器ではない。場所に合わせて形を変えながら、同じTANKERを伝え続ける。約2年間、国内外で使われてきたこと自体が、その柔軟性と耐久性を示していました。

なぜ、今回は「動かせる什器」だったのか

そして今回、これまでのエレクターシェルフに新しい使い方が加わりました。ゴールドのシェルフを載せた「移動ストレージユニット」です。一般には、収納スペースを有効活用するために使われる可動式の移動棚。それを今回は、TANKERをディスプレイする店舗什器として使用しました。

ディスプレイ什器として使用された「移動ストレージユニット」

ディスプレイ什器として使用された「移動ストレージユニット」

吉田カバンが目指したのは、様々な角度からTANKERを見ることができ、手に取りやすい空間演出でした。そのために何度もレイアウトを検討し、移動ストレージユニットは十字型に配置されました。最初から、この形に決まっていたわけではありません。何度もエレクター什器の配置パターンを出して検討したのです。

何を優先するのか。吉田カバンの答えは、お客様が商品を手に取りやすく、見やすいこと。そして、「中に入って見てみたい」と思えることでした。棚を壁に沿って並べるだけではなく、売場の中央に配置する。その周囲を歩く。角度を変えてTANKERを見る。気になるバッグに手を伸ばす。

移動ストレージユニットを使うことで、TANKERを「並べて見せる」だけではない売場に

商品を手に取りやすい形で展示

移動ストレージユニットを使うことで、TANKERを「並べて見せる」だけではない売場が生まれました。什器の配置そのものが、来場者の動きと視線をつくる。今回の移動ストレージユニットは、TANKERと人との接点をつくる役割を担っていました。

収納するための棚から、TANKERを「魅せる」什器へ

移動ストレージユニットは、本来、収納効率を高めるための製品。棚を動かすことで、限られたスペースを有効に使う移動棚です。しかし今回、吉田カバンが引き出したのは、収納とは違う可能性でした。

動かせることを、空間演出に使う。さまざまな角度からTANKERを見ることができる。手に取りやすくする。「中に入って見てみたい」と思わせる。

なかでも象徴的だったのが、十字型のレイアウトです。実はこの使い方は、移動ストレージユニットをつくってきた私たちエレクターにとっても、想像していなかったものでした。メーカーが考えていた使い方を、ユーザーの発想が超えていく。吉田カバンからいただいた、こんな言葉があります。

「エレクターは、自分たちの発想次第で使い方が広がっていく什器だと感じています」

「移動ストレージユニット」を十字型にレイアウト
「移動ストレージユニット」を十字型にレイアウト

「移動ストレージユニット」を十字型にレイアウト

今回の十字型のレイアウトは、まさにその言葉を形にしたような使い方でした。エレクター製品は、完成した時点で使い方まで完成するわけではありません。棚の高さを変える。会場に合わせて組み方を変える。解体して、世界各地へ運ぶ。そして今回、移動ストレージユニットは、メーカーさえ想像していなかった形でTANKER LIMITED STOREの空間をつくりました。

使い方を決めるのは、メーカーだけではない。使う人の発想が加わることで、製品の可能性は広がっていく。そして、製品の可能性が広がれば、つくれる空間も広がっていく。自由な発想が、空間の可能性を広げる。吉田カバンが見せてくれた十字型のレイアウトは、エレクターにとっても、自分たちの製品の新しい可能性に気づかせてくれるものでした。

妥協しないことが、当たり前

今回の空間が完成するまでには、何度もレイアウトが検討されました。商品を手に取りやすいか。見やすいか。「中に入って見てみたい」と思えるか。商品、素材、什器が美しく見えるか。吉田カバンは、オープン直前までレイアウトを考え続けていました。

オープン直前まで考え抜かれたレイアウト

オープン直前まで考え抜かれたレイアウト

そして、その過程で必要になったパーツについて、エレクターへ相談がありました。エレクターも、その相談に応える。決められた仕様どおりに納めたら終わりではなく、最後まで理想の空間に近づけるために、両社で調整を重ねていきました。

前回のプロジェクトで、エレクターの担当者はこう話していました。「お互い妥協をしない会社だから、ぎりぎりまで理想に近づけるよう、細かい修正を重ねました」。この言葉は、今回の仕事にもそのままつながっています。

吉田カバンには、創業者・吉田吉蔵氏が掲げた「一針入魂」という言葉があります。一針一針に心を込める。一方、エレクターが掲げるのは「TIMELESS TRUST」。時を超えて信頼される企業であり続けるために、ものづくりと向き合う。

お互い妥協しないことが当たり前。吉田カバンが最後まで考え抜く。そこから新しい要望が生まれれば、エレクターもできる限り応える。

そうやって、オープン直前まで一つひとつを積み重ねた先に、TANKER LIMITED STOREという空間が生まれました。

90年と60年。その先の未来へ

2025年、吉田カバンは創業90周年を迎えました。そして2026年、エレクターは設立60周年を迎えました。長くものづくりを続けてきた二つの会社。

ゴールドのシェルフに展示されたPORTERのバッグ

その製品を選ぶ人たちには、「これがいい」という理由があります。だからこそ、その期待にどう応えるか。吉田カバンは、バッグという製品を通して人の目に触れる存在。エレクターは、そのバッグを載せる什器として、空間を陰から支える存在です。立ち位置は違っても、目の前の一つに妥協せず、選んでくれた人の期待に応え続けることは変わりません。

90年と60年。長く続いてきたから、信頼されるのではない。期待に応え続けてきた時間が、信頼になる。そして、その信頼に甘んじることなく、今回の十字型レイアウトのような、これまでになかった発想にも挑戦していく。

積み重ねてきた信頼を、次の挑戦へ。その挑戦を、また次の信頼へ。時を超えて信頼されるものづくりは、過去を守ることではなく、未来をつくり続けることなのだと思います。

(インタビュー&文/EC営業グループ  松岡弘明)

移動ストレージユニット

ラバーメイドラウンドブルートユーティリティコンテナ

「移動ストレージユニット」は、床面レール構造の可動式の収納棚。棚全体をスライドさせて動かすことで、必要なときだけ通路を確保し、収納面積はそのままに収納量を大きく増やせます。

  • 棚をスライドさせて通路を設けることができるので、スペースを有効に使え、収納効率が向上。
  • 専門業者による施工が不要。床にレールを固定してはめ込むだけなので、目的の変化に応じたレイアウト変更や拡張も自由自在。
  • シェルフは、定番カラーからオーダーシェルフのカラ―まで全17色から選択可能。空間に馴染むカラーを使用して魅せる収納に。
  • スライドローラーにはワンタッチで切り替えができるストッパー付き。荷下ろし時にはシェルフを固定して使用可能。
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