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吉田カバンのバッグが映える特注カラーのエレクターシェルフ
1935年に創業し、「ポーター」ブランドで世界的に知られる吉田カバン(株式会社吉田、敬称略)と、1966年から日本でワイヤーシェルフを作ってきたエレクター株式会社。2024年春、吉田カバンの新作バッグが、特注カラーのエレクターの棚に並び、新宿伊勢丹店本館とDOVER STREET MARKET GINZAでお披露目されました。

「一針入魂」の吉田カバンと「TIMELESS TRUST」のエレクター

「一針入魂」をモットーに素材づくりからデザイン、縫製に至るまですべての工程に手を抜かないものづくりを続けている吉田カバン。機能性、安全性、機能美に優れたものづくりに取り組み、「TIMELESS TRUST」(時を超える信頼)を体現するエレクター。妥協しない企業同士、モノづくりの理念に通じ合うものがありました。吉田カバンは「ALL NEW TANKER」のコンセプトを掲げ生まれ変わった「TANKER」シリーズの発売に合わせ、伊勢丹新宿店本館のイセタン ザ・スペースとDOVER STREET MARKET GINZA エレファントスペースにてスペシャルプロモーションを開催。そこでバッグをディスプレイするための什器として、エレクターシェルフが使用されました。

イセタン ザ・スペースでは、オレンジカラーのベーシックシリーズ。DOVER STREET MARKET GINZA エレファントスペースでは、ゴールドのベーシックシリーズ。どちらもこのプロジェクトのための特注カラーです。

イセタン ザ・スペース
イセタン ザ・スペース

DOVER STREET MARKET GINZAエレファントスペース
DOVER STREET MARKET GINZAエレファントスペース

吉田カバンから届いたスペシャルなオーダー

吉田カバンでは、これまでの石油由来のナイロンとはちがうトウモロコシとヒマからできた100% 植物由来のバイオベースナイロンを使用した「TANKER」シリーズを2024年5月に発売。革命的なこの商品を、店頭やイベントスペースでどう展示するかということが検討されていました。

「アイテム数が多く、バッグ1つ1つの形やサイズが異なるため、棚の高さが固定されている什器では整然とディスプレイすることが難しい」

「それぞれのバッグの高さに合わせて棚の高さを自由に変更できる柔軟性があり、イベントなどで持ちだした際に組み上げやすいものがいい」

そこからエレクターに相談がきたのが2023年の初冬でした。

「ポップアップイベントにぜひエレクターシェルフを使用したい」

以前よりエレクターシェルフの愛用者だという吉田カバンの社員より、ポップアップストアでエレクターシェルフを展示台にするというアイデアが生まれました。問い合わせをした時点で、吉田カバン社内ではエレクターのカタログを回覧し「ここなら理想的な棚を用意してもらえる」と期待が高まっていたといいます。

特注のカスタムカラーはオレンジとゴールド

営業本部 マネージャー 峰 陽祐エレクターでは営業本部マネージャーの峰陽祐が担当となり、吉田カバンとの打ち合わせから様々な交渉、納品、組み立て説明までを行いました。

入社19年目、特注色、特別色の実績がある峰からは「エレクターシェルフに対する熱い想いと、プロフェッショナルな精神を感じました」と、吉田カバンの担当者。

初回の打ち合わせは、エレクター本社で行いました。「ポーター」ブランドのキーカラーでもある、オレンジカラーのシェルフがつくれるかどうかの相談をする予定での訪問でした。

打ち合わせを行った会議室には、1994年にホームエレクター(現ベーシックシリーズ)を発売した際の記念品としてゴールドにメッキされたシェルフが展示してありました。

エレクターの会議室
会議室に飾られているゴールドのエレクターシェルフ

吉田カバンの担当者は、そのゴールドを見た瞬間、「これが描いていたイメージ通りのシェルフだ!」と感じたといいます。
 
「オレンジに加え、ゴールドのシェルフも製造できますか?」との打診を受けた峰は悩みました。特注カラーの製造依頼は過去に何度も受けているとはいえ、金メッキのゴールドは初めてだったからです。ショールームに展示してあったのは、30年も前に作ったもので、当時の製造工程を知る担当者もいませんでした。

峰はさっそく上司や甲府事業所の工場を含め社内で交渉を始めました。エレクターには最初から「そんなのできない」という人はいません。そんな職人気質こそが、エレクターがものづくりにかけるプライドです。

オレンジカラーのシェルフは、何度かサンプルとして色を試した後、ツヤありとツヤなしの2色で提案しました。最終的には、実際に使用するサイズでもサンプルを納品前に届けています。

ゴールドカラーは最初、納期の関係から塗装で提案。実際にサンプルも造りましたが、イメージと異なるということで見送りに。見た目の質感の点で、本社のショールームに飾っている金メッキと同じテイストを希望されていました。しかし、そうなると、今回のシェルフのサイズの金メッキを施せる工場を見つけるのが大変でした。

甲府事業所でも近隣の工場に打診し、あの手この手で金メッキを施せる工場を探したのです。やっと見つかりサンプルを製作。納期が迫る中、課されたミッションを果たすべく、試行錯誤の日々が続きました。

いよいよ納品、シェルフのカラーと存在感に合格点が出る

実際に完成した特注カラーのシェルフを見た吉田カバン担当者は、このような感想を語ってくれました。

「オレンジはブランドのキーカラーであり、最もこだわってきた色。数回のサンプルから、より弊社のイメージに合った、バッグとの相性も良い方を選ばせていただきました。初めて高さ1900mm、5段のシェルフを組んだ際には、非常に存在感のある印象に仕上がったと感じました」

高さ1900mm、5段のシェルフ
高さ1900mm、5段のシェルフ

「ゴールドは『TANKER』のセージグリーンと最も合う色。DOVER STREET MARKET GINZA のエレファントスペースでも十分に存在感を放つだろうと確信しました」

DOVER STREET MARKET GINZAのエレファントスペース
DOVER STREET MARKET GINZAのエレファントスペース

ゴールドのファスナーとリンクしているエレクターシェルフ
ゴールドのファスナーとカラーがマッチしているエレクターシェルフ

ここに至るまでは時間との戦いでした。担当者の峰は社内調整役で、スケジュールに追われながら、現場と相談を重ねました。

「何とか仕上げることができました。やり取りの回数は多かったですし、世界に通じる確固たる美意識とセンスから要求されるレベルは高かった。エレクターの現場も、それに最大限応えようとしました。お互い妥協をしない会社だから、ぎりぎりまで理想に近づけるよう、細かい修正を重ねました」

そう、製作過程での苦労を語りながらも、笑顔で語ります。

「しかし、お互いの目的は『いいものをつくる』ということ。難しいことにチャレンジし、会社全体のモチベーションも上がりましたし、甲府事業所の現場とも一体感が出ました。そういうことの積み重ねが企業文化であり、会社のヴィジョンになっていくのだと改めて気づかせてくれた貴重なプロジェクトでした」

吉田カバン本社に製品を納品したのは、新しい『TANKER』の発表数日前。展示内容の打ち合わせやシミュレーションが慌ただしく行われている中で、納品しました。

「棚板枚数、ポールなど、かなりのボリュームの納品でしたが、本社の皆さまは忙しい中でも、手伝いをしてくれました。この時、納品に立ち会っていたのは、両社とも現場で製造業務に携わる人たちではありません。それにも関わらず、お互いに共通する熱意を感じずにはいられませんでした。そして、展示スペースに実際に足を運び、並んだエレクターシェルフを見ると、いっそう感慨深いものがありました」と峰は振り返ります。

展示スタート、会場では「すごい什器だ!」という声

そして、5月15日にオープンしたイセタン ザ・スペースの会場、吉田カバンからは喜びの声が届きました。

「扇形シェルフを組み合わせたトラック型シェルフはインパクトがあり、『すごい什器だ!』という声が飛び交っていました」

扇形シェルフを組み合わせたトラック型シェルフ
扇形シェルフを組み合わせたトラック型シェルフ

「シェルフのオレンジによってセージグリーンのバッグが引き立ち、また壁面や柱巻きもグリーンにしたので、オレンジの棚が立体的に演出され、スペース全体にメリハリが生まれました」

シェルフのオレンジによってセージグリーンのバッグが引き立つ
セージグリーンのバッグが引き立つオレンジのシェルフ

バッグとシェルフの色がお互いを引き立て合う補色の効果を狙った展示は、見る人に強いインパクトを与え、会場でも、シェルフも含めてバッグの写真を撮る人が続出しました。

また、ゴールドのシェルフを使ったDOVER STREET MARKET GINZA エレファントスペースでは、「上品で、よりバッグに高級感が生まれる」「金のシェルフがカッコいい」といった感想が多く聞かれました。

上品でバッグに高級感が生まれるシェルフ

銀座の街を歩く人たちがウィンドウの外から写真を撮っている姿も見られました。

ウィンドウの外から見た店内

エレクターは企業理念の中で、エレクタービジョンとして「空間にいのちを吹き込む」も掲げています。エレクターシェルフが吉田カバンの展示スペースに「いのちを吹き込む」ことができたとすれば、こんなうれしいことはありません。

フォトギャラリー

新宿伊勢丹店本館/DOVER STREET MARKET GINZA

バッグと共に世界に羽ばたいたエレクターシェルフ

オレンジカラーのエレクターシェルフは、『ALL NEW TANKER』海外プロモーションに伴い、海を越えて外国へと旅立ちました。韓国に始まりパリなど、この後も様々な国を巡回していくとのこと。世界のファッショニスタに愛され、コレクターも多く存在する吉田カバンのグローバル展開に伴走できるのは、製造者冥利に尽きるというものです。

吉田カバンからの初めていただいたオーダー。お互いの持つプライドやものづくりに対する飽くなき姿勢によって実現した特注色のエレクターシェルフ。エレクターは今後も、「これまでにない挑戦」というチャンスを与えてくる出会いを求め、品質にこだわった製造を続けていきます。

𠮷田カバン

https://www.yoshidakaban.com/

1935年にカバン職人の吉田吉蔵が立ち上げた株式会社 吉田(吉田カバン)。自社ブランド「ポーター」を1962年に発表しました。「一針入魂」をモットーに、日本製にこだわったバッグをつくり続けています。ホテルなどでお客様の荷物を預かるポーターが、常に鞄に触れ、その善し悪しを知ることから敬意をこめてブランド名に起用しています。

※「吉」の正確な表記は「𠮷」(「土」の下に「口」、つちよし)
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