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物流倉庫を変えた「ネステナー」日本上陸秘話

2023年11月、日本での「ネステナー」発売開始から50周年を迎えました。

現在では製品名が物流倉庫のスチール製の保管ラックの代名詞にさえなっている「ネステナー」。日本国内には日本ネスタウエイ株式会社(現エレクター株式会社)が1973年に導入。

その後、スペース効率と作業効率に優れた「ネステナー」は国土の狭い日本で爆発的に広まりました。エレクターと「ネステナー」との出会いは、アメリカのシカゴで起きた出来事がきっかけだったのです。

※本記事の『オーナーと「ネステナー」の出会い』部分は、1990年に作成された社内資料を基に、内容の変更は行わず一部表現のみを変更して掲載しています。

日本で爆発的に広まったネステナー

オーナーと「ネステナー」の出会い

「君たち、大勢集まって何をやっているのかね」

英文の雑誌の切り抜き写真を囲んでいた5〜6人のメンバーたちに、オーナー(エレクター株式会社の創業者である柳屋行。当時社員はオーナーと呼んでいました)は声をかけました。

17年前(1973年)の早春。当時、台東区蔵前に構えていた本社に併設されたショールームでの出来事でした。

当時大ヒット商品となっていた「スーパーエレクター・シェルフ」(現在のスーパーシリーズ)で埋め尽くされていたショールーム。メンバーたちはショールーム内の丸いテーブルに集まり、大手商社であるM商社の機械事業部から提供された雑誌の切り抜き写真を見て、一生懸命に話し合っていました。

英語雑誌イメージ

その写真に写っていた製品は現在の「ネスタウェイB型」。モノクロ写真で印刷され、詳細な説明もありませんでした。

ネスタウェイB型

ネスタウェイB型(現在は特注品として生産)

M商社からの提案は、エレクターと同じワイヤー製品で搬送機能を備えた棚であるため、エレクターの商品ラインナップとしての取り扱いを検討してほしいというものでした。

「君たちは何をもたもたしているのかね。すぐにでもアメリカに行って現地で製品を調べなさい」

オーナーはメンバーたちに指示。しかし結局は、オーナーと江原常務が現地に行くこととなり、アメリカのオハイオ州にあったインターメトロ社(※1)を訪問したのです。エレクターシェルフの発明者であり、インターメトロ社の創業者であるルイス・マズロー社長にその切り抜き写真を見せて製品について尋ねました。

※1 インターメトロ社との出会いはこちら

ルイス・マズロー社長は「これはシカゴのネスタウェイ社の製品です。紹介状を書いて差し上げましょう」と、すぐに紹介状を書いてくれました。話がトントン拍子で進んだのには理由があったのです。

インターメトロ社も以前には似たようなワイヤーバスケットを製造していたことがありましたが、訪問当時にはワイヤー製をプラスチック製に変更。急速に売上を伸ばしていました。ネスタウェイ社の「ネスタウェイB型」は、インターメトロ社のかつての競合製品だったのです。

かつての競合相手からの紹介状であったため、オーナーはネスタウェイ社へ向かう道中、不安げな様子でした。しかしアメリカのビジネス環境はオーナーの行動力を歓迎。ネスタウェイ社の副社長であるローズ氏との交渉は迅速に進展し、契約の大枠が決まりました。

副社長室のソファでお互いくつろぎ、会話が和やかになった頃、オーナーの視線は別のところにありました。ローズ副社長のデスクの下にある赤い物体に気づいたのです。通訳の江原常務を通じて尋ねると、「あぁ、あれですか……」とローズ副社長は気まずそうな顔をしながら席を立ちあがりました。

「あれは今特許申請中のものです。ちょっと待っていてください」と副社長室を出ていかれ、赤いミニチュアを持って戻ってきました。 

赤いミニチュアは「ネステナー」のミニチュアでした。ローズ副社長は製品の詳細を説明し始めました。テーブルに2つのミニチュアを置き、1つをもう1つの上に積み上げ、その後、元の位置に戻しました。オーナーはその操作を驚きながら見つめ、熱心に説明を聞きました。

ネステナーのミニチュア

ローズ副社長は、「ネステナー」は実際にはフォークリフトを使って高く積み重ねたり、降ろしたりするための移動可能なラックであり、倉庫や工場での使用に適していると説明しました。その上、使わないラックはネスティング収納でき、効率的にスペースを活用できるとのことでした。

わずか5分ほどの説明であったのにも関わらず、オーナーは「ネステナー」の可能性に目を見開き、「独占的に扱えるように契約に組み込んで欲しい」と伝えました。この瞬間から、オーナーの真の力が発揮されます。すぐに契約交渉に乗り出し、言葉だけの約束では不十分だと主張したのです。

ローズ副社長は「メモランダム(覚書)にしましょう」と提案し、秘書を呼んで覚書を作成。覚書の作成が終了するとローズ副社長の秘書と江原常務が立会人となり、それぞれサインをしたのです。

アメリカ社会は契約社会とも言われます。オーナーのスマートなアプローチに感銘を受けたローズ副社長は、すぐさま信頼を寄せるようになり、日本での「ネステナー」事業のスタートを支援することになったのです。

日本でのネステナー

その年の1973年に日本ネスタウエイ株式会社(※2)を設立し、「ネステナー」(※3)を日本で販売開始。時代が求めた大量生産・大量消費に適した効率的な物流の流れに乗り「ネステナー」は普及。その後、日本独自の逆ネステナーの開発や、エレクター独自の5角パイプの採用、限られた倉庫スペースを有効活用可能なC2システムの開発などの進化を遂げています。

多品種少量生産の時代となった現代では、規格品だけでなくオーダーメイドでの製造も可能。特殊な保管物や保管方法にも対応しています。

また“制震”“免震” “耐震”という3つの構造を合わせもった「ネステナー」は、地震の多い日本において、工場や物流倉庫のBCP対策・安全対策製品としての広がりも見せています。

安全・安心設計の強度計算により製造されたエレクター製の「ネステナー」。1973年の日本発売開始以来、半世紀で500万台以上の納入実績が信頼の証です。

※2 日本ネスタウェイ株式会社は後にエレクター株式会社に合併
※3 「ネステナー」はエレクター株式会社の登録商標です

ネステナー製品ページ

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