配膳車と下膳車はわけるのが理想。病院の実際は?

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エレクター株式会社

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衛生管理に携わる方には常識かもしれませんが、配膳車と下膳車はわけるのがベスト。配膳から下膳までをワンウェイにすることで汚染交差を防止することができます。しかし、実情はわけていない施設さんも多いです。

配膳車の使用について、公的な決まりはありません

病院や介護施設など集団給食を行う施設では、厚生労働省の『大量調理施設衛生管理マニュアル』に基づいた運用がされていることと思います。
調理法や食材の管理方法、調理から喫食までの時間、温度管理は細かく規定がありますが、配膳車を使うかどうか、配膳車が温冷配膳車であるべきかどうか、下膳はどのようにすべきかといった記載はありません。
保健所の検査では、配膳と下膳の台車をわけるように指導されることがあります。しかし、これも努力義務であって、強制力があるわけではありません。施設規模や利用者様の状態が異なるため一概に規定できませんし、施設ごとの人員やスペースの問題などもあるでしょう。

実際に病院では配膳車をわけているのか

公的な調査がないので断言は難しいのですが、当社が把握している範囲ですと、半数以上の病院様は配膳車で下膳も対応しているようです。
当社は全国7か所の営業所があり、約8,300の病院様とお付き合いをいただいています。1970年から現在まで配膳車を販売してきた中で、さまざまなご相談を受けてきました。配膳と下膳をわけることの重要さは認知していても、保管スペースの問題で導入が難しいとおっしゃる施設が多いのが現状です。
その場合は、使用都度の清掃とアルコールを使っての消毒で対応されているようです。

ただし、新設の施設様ではあらかじめ配膳車の保管場所を設計することができますから、大多数の施設が配膳車と下膳車の両方を導入されています。
厨房が狭くて置き場所はないが、衛生管理のためにどうしても導入したいという病院様は、下膳車を配膳専用エレベーターの中に保管したり、廊下の端に出してカバーをかけるなど工夫されています。

配膳車と下膳車をわけたほうがいい3つの理由

厚生労働省の『大量調理施設衛生管理マニュアル』は、食中毒の発生を防ぐ目的で作られています。そのため、厨房から配膳までの管理方法が重視されており、下膳については触れられていません。
しかし、下膳方法も気を使っていただきたいのです。


1 交差汚染の防止

汚染度の異なるものが交わらないようゾーニング管理するには、配膳車と下膳車をわけるのが基本です。人のだ液の入っている残菜を運ぶと、配膳車の庫内に雑菌が繁殖しやすくなります。下膳車をわけておけば、食中毒対策・感染症対策になります。

2 次の準備がスムーズ

配膳車を下膳車として使用してしまうと、患者様の食事が終わるまで配膳車を待機させなければなりません。配膳と下膳を同じ配膳車で行うなら、特に念入りな清掃と消毒が必要なのに、下膳と清掃を待つために次の準備が遅れていきます。
下膳車を使用すれば、配膳車はすぐに厨房に戻ることができますから、効率的です。

延食や食事介助に時間のかかる方の下膳がある場合、時間が足りないケースも考えられるでしょう。盛り付けや組み込みは省くことができませんから、どうしてもシワ寄せは清掃・消毒の工程になりがちです。作業者に時間的な余裕を持たせることは、安全管理上も必要なことです。

3 温冷配膳車が長持ちする

温冷配膳車の不具合があり点検した際に、原因が庫内に詰まった食べかすだったというケースがよくあります。食べかすが詰まりにくく清掃しやすいよう設計していますが、配膳と下膳では汚れる量がまったく違うのです。
また、食べかすから生じたガスが原因で配膳車に不具合が生じる可能性もあります。

下膳車は食器や食べかすを落とさないよう運べればよいので、もし壊れたとしても代用が利きやすいです。しかし、温冷配膳車は繊細な機械を積んでいますしお値段も安くはありません。壊れてしまうと次のお食事から困ることになります。
下膳をわけて故障リスクを減らすと、温冷配膳車の寿命を延ばすことにつながります。

感染症への危機意識が高まる中で

日本では食中毒の発生件数は減少傾向で、死者数もわずかです。それでも一年間に約900~1,400件の食中毒事件があり、患者数は年1万人を越えます。黄色ブドウ球菌、O111、O157、ノロウイルスを原因とした集団食中毒事件の発生も、記憶に新しいところです。
そのため、以前から医療現場の衛生管理への意識は高まっていましたが、コロナ禍でそれはさらに加速したように感じています。
弊社にも、下膳車のお問い合わせが増えています。


ネスティングトレイカート・SUSフレキシブルモデル

エレクターでは、下膳専用のカートをご用意しています。ネスティングトレイカートは、変形・重ね収納ができるので非常にコンパクトです。スペース的な問題で下膳車の導入をためらっていた方に、ぜひおすすめします。

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