エレクター株式会社
病院や高齢者・福祉施設で食事を計画的に調理し、提供を行う新調理システムとして「クックチル」や「ニュークックチル」があります。この記事では、ニュークックチルとクックチルの共通点や違いをはじめ、ニュークックチルを導入するメリットや注意点についても解説します。
クックチルとニュークックチルは、いずれも調理の工程や管理をマニュアル化したシステムです。 従来のクックサーブとの違いは、加熱調理後90分以内に中心温度を3℃以下にまで急速冷却し、0〜3℃で衛生的に保管、食事を提供するタイミングで再加熱する点です。この工程により、安全で衛生的、かつ効率的な運用が可能になります。
クックチルはホテルやレストランなど幅広いジャンルで採用されているシステムに対して、ニュークックチルは病院や高齢者施設に特化したシステムです。
クックチルとニュークックチルはいずれも調理を平準化してくれるシステムです。2つのシステムの共通点と違いを詳しく解説します。
クックチルとニュークックチルの主な共通点は、以下の3つです。安全管理・衛生管理の向上し、効率化も図れます。
ニュークックチルとクックチルの主な違いは、以下の3つです。ニュークックチルはより病院や高齢者・福祉施設に向いている新調理法になります。
クックチルでは、チルド状態で保存された料理を再加熱した後に盛り付けします。一方のニュークックチルは、チルド状態でお皿に盛り付けを行いトレイメイクした後、トレイごと再加熱します。盛り付けは手袋のままでも行えるので作業の効率化が図れます。盛り付けを事前に行っておくことで、大量調理施設衛生管理マニュアルで定められた加熱後2時間以内の喫食をより確実に守ることができます。また、ニュークックチルは再加熱カートを用いた運用になります。再加熱カートでの加熱はタイマーで自動的に開始されます。翌朝のメニューを前日の夜にセットしておくことで、朝食提供時の人員を削減できるといった「早朝勤務の緩和」も期待できます。
クックサーブで運用している病院や高齢者福祉施設が、ニュークックチルへ移行した場合、安全面・衛生面だけではなく、労働環境の改善も期待できます。提供する食数が多い病院や、人手不足・労働環境の問題をかかえている病院や施設にメリットが大きいとされています。
作業量の多い工程を空いた時間に移すなど作業の平準化を図れることも、ニュークックチルに移行するメリットです。先ほどもお伝えしたように、翌朝の食事を前日の夜に盛り付けまで行っておけば、早朝出勤のスタッフを減らすことも可能でしょう。 こうした作業の平準化により、残業時間の削減や有給休暇が取得しやすくなる等で、給食の現場で働くスタッフの定着率が向上することも期待できます。
効率的な作業工程を構築することで、作業時間にゆとりが生まれます。料理の幅が広がるほか、急な個別対応などにも対応できるようになります。様々な疾患の患者様に対応しやすくなるのもメリットです。
ニュークックチルでは、調理日を含む5日間の保存が可能になるので、調理日を集約し効率的な作業を行うことができます。土日の調理業務をなくすことで、労働環境の改善が図れます。
クックサーブからニュークックチルに移行する際には、いくつかの注意点があります。
ニュークックチルを導入する前に、「現場ではどのような課題があるのか」「どんな運用をすれば効率化するか」といった現状の課題やニーズを把握したうえで、ソフト面から環境を整備することが大切です。 現場の状況を把握せず、システムありきで環境を整えると、導入初期段階でつまずきやすいので注意しましょう。
作業工程やつくれるメニューなどが、クックサーブと異なる点も注意が必要です。例えば、クックサーブで提供しているメニューをニュークックチルで進めると、工程や調理方法に違いがあるため「どうすればよいかわからない」と現場のスタッフが困惑することもあるでしょう。 また、クックサーブで提供しているメニューをすべてニュークックチルに移行できるとは限らず、場合によってはレシピの変更が必要になることもあります。こだわっていた調理方法や提供方法がある場合は、代替案を用意しなければならないこともあるでしょう。 ニュークックチルは、クックサーブの延長線上のシステムではありません。関係者全員が、クックサーブとの違いを明確に理解・認識することも、大切なポイントです。
ニュークックチルでは、事前に一時調理した食材を時間をおいて再加熱、提供するシステムです。急速冷却された食材が提供されるのは、翌日になることもあれば、3日後になることもあるでしょう。 ここで注意したいのが、食材の準備計画です。例えば当日提供する食数が事前に計画していた数と異なるのよくあるケースです。ニュークックチルでは数日前、場合によっては数週間前に事前に食材を発注しなければならないこともあり、より計画的に献立を検討し、運用していく必要があります。
ニュークックチルの導入により、業務効率化や人件費削減などの効果を発揮した事例を紹介します。
鹿児島市の厚地脳神経外科病院では、セントラルキッチン化にあわせてニュークックチルを導入しました。これにより、朝食を準備する給食スタッフの出勤時間を2時間以上遅らせ6:30に。スタッフの人件費も、30%削減できたそうです。
引用先:厚地脳神経外科病院
ニュークックチルを導入すると提供フローは大きく変わります。ニュークックチルを導入する場合、厨房設備が変わったり、調理工程や作業内容が変わることで、新たな運用に慣れる必要があり、事前に入念な導入計画と段取りが重要です。エレクターのコンサルタント室は、ニュークックチルの導入支援はもちろん、導入後の運営における疑問や質問なども含めて、安心して運営できるようサポートいたします。
「システムを導入しようとしているが、導入することにより厨房内の作業環境がどのように変わるのか」「機器を購入したが上手く活用できていない」また「問題が起きたときにどのように対処するべきか」など、導入前後さらに軌道に乗るまでの不安を解消いたします。
※詳細はお問い合わせください。
病院・高齢者施設のフードサービスにおける問題解決のヒントを持ち帰っていただくためのセミナーです。エレクターならではの豊富な専門知識と情報力、現場経験を基盤として問題を抽出・分析。これからのフードサービスがどのように変わっていくかもお話します。
【オンラインセミナー】ニュークックチルのことから再加熱カート導入まで、いつでもどこでも受講できるZOOMセミナーの開催!
ニュークックチルは、クックチル&再加熱カート方式とも呼ばれています。運用にはニュークックチル用の再加熱カートが必要になります。エルゴサーブは、チルド冷蔵と再加熱を1台でできるニュークックチル専用の再加熱カートです。エルゴサーブの主な特長は以下の3つ。
エルゴサーブの再加熱は熱風式を採用。庫内・食器内で温度が均一に再加熱できるため、美味しい食事の提供が可能です。搬送しやすく設計されたデザインも特長。機械部分のステーションと配膳カートのシャトルに分かれています。機械を搭載していない軽量のシャトルのみで配膳が行えます。スタッフの負担を少なくできる点も、エルゴサーブのメリットです。エルゴサーブのさらに詳しい説明は、下記よりリンクしたページでご確認ください。
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