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工場や物流倉庫のBCP対策・安全対策
(2022/11/24 更新)

BCPとは

BCPとは、事業継続計画(Business Continuity Plan)のこと。災害などの緊急時におけるあらゆるリスクに対して、損害を最小限に抑え、すべての事業または中核事業を継続して早期復旧を図るための計画を指します。

防災対策とは異なり、BCPは「事業の継続」を目的に計画されます。たとえば、大きな地震を想定する場合、従来の防災対策は耐震補強や救出救護、初期消火、安否確認など自組織の防災対策と初動対応計画を立てるのみでした。これに対してBCPは、サプライチェーンの復旧や物流の回復も含めた復旧計画、その間の資金計画までを含んで計画します。防災対策の延長上にあるのがBCPといえるでしょう。

工場や物流倉庫におけるBCP対策の重要性

大きな災害が発生した際に、物流業界は緊急物資を輸送するなど、生活インフラを支える重要な役割を果たします。

しかし、東日本大震災では保管物の落下やシステム障害・通信障害などによって出荷ができなくなったり、被害状況の確認や倉庫内の整理に時間を要したりと、緊急時の役割を果たせない物流業者が多くみられました。また、震災の影響で荷主の倒産が相次ぎ、経営が傾く物流業者もありました。

倉庫におけるBCP対策は、自社を守るだけでなく社会的責任を果たすうえでも重要な施策であり、事業者には早期に業務を回復させ通常業務に戻すために、より強固な対策が求められるのです。

BCP対策で意識しておきたい作成ポイント

倉庫を運営する事業者をはじめ物流業におけるBCP対策について、一般社団法人日本物流団体連合会は「自然災害時における物流業のBCP作成ガイドライン」を設け、中小事業者を含めてBCPの作成を推奨しています。

このガイドラインでは、物流業者のBCP作成時のポイントを以下4点にまとめています。要点のみをピックアップして、ご紹介いたします。

ポイント① 防災対策

災害時にどのような被害をもたらすかは、物流業者の立地や設備などの状況によっても異なります。まずは、自治体が公表するハザードマップなどをもとに、自社の倉庫にどんなリスクがあるかを把握するところから始めます。

そのうえで、耐震や遮水、荷崩れ防止といった必要な防災対策を施すとともに、災害時に必要な備品(消火器、救急用品、避難・救難機材など)を準備します。食料や飲料水といった備蓄は、最低3日分あると安心です。

システム障害や通信障害による被害を最小限に抑えるため、データのバックアップや通信手段の多重化も重要です。場合によっては、代替の拠点や車両、設備の確保も検討します。

ポイント② 発災直後の措置

災害発生時には、何より人命が最優先です。災害が発生したら、従業員を安全な場所へ避難させます。安否確認は従業員の家族に対しても行えるよう、その手段をあらかじめ従業員に指示することもポイントです。

あわせて「災害対策本部」を社内で開設し、状況に応じてBCPを発動します。安否不明者がいたり建物や設備などに被害が生じたりした場合には、災害対策本部に情報を集約させて対策を講じる準備を始めます。

その後、安全だと判断できた段階で従業員を召集させ、「誰が、いつ、どこで、何を」行うかを確認し、業務復旧に向けて取り組みます。被災状況によっては応援戦力を送り込んだり、支援物資を届けたりするなど、社内の応援・支援体制の整備も大切です。顧客や業界団体、行政など関係先への連絡も忘れずに行いましょう。

ポイント③ 復旧対策の実行

復旧対策に向けた準備が整ったら、実行に移ります。とはいえ、闇雲に復旧を進めるのは非効率ですから、BCPでは業務や提供サービスなどにあらかじめ優先順位を設定し、それが高いところから集中的に対策を講じていきます。

また、燃料の確保も重要なポイントです。倉庫内のフォークリフトやトラックなどで使う燃料は、可能な限り事業者でも準備しておきます。広い工場の場合、自転車や原付バイクを備えておくと迅速に対応しやすいでしょう。

復旧を進めるうえで、資金対策も重要です。復旧に必要な物資の購入だけでなく、従業員の生活支援や取引先への被災見舞など多額のキャッシュが必要になることもありますから、手元資金は十分に準備しておくことが望まれます。なお、請求書などのデータをなくさないよう、保管場所を決めておくことも大切です。

ポイント④ 平時からの準備

災害はいつ襲われるかわかりません。いざというときに、BCPで策定した通りに行動できるよう平時から準備しておくことが大切です。

定期的な訓練を継続して行うことはもちろん、想定外のケースも可能な限り考えてシミュレーションすることも重要です。そのシミュレーション結果や他の地域で起きた災害事例などをもとに、BCPを定期的に見直すこともポイントです。継続的な見直しを実施することで、より実効性のあるBCPを策定できるようになります。

■自然災害時における物流業のBCP作成ガイドライン(一般社団法人 日本物流団体連合会)
https://www.butsuryu.or.jp/asset/40737/view

倉庫内で想定される地震のリスクと対策

倉庫における地震対策は、自社製品や部品、お客様から預かっている大切な商品を守ることはもちろん、そこで作業する従業員の生命を守るうえでも重要な施策です。屋根の軽量化や耐震補強工事といった建物への対策だけでなく、倉庫内でもリスクを想定したうえで対策を講じる必要があります。

地震に強いネステナー!



ネステナー

「ネステナー」は、“制震”“免震” “耐震”という3つの構造を合わせもったラックで、地震に強いのが特長です。

ネステナーと他の保管機器の地震時の写真

<制震構造>地震の揺れを吸収するレールオンレール方式

ネステナーは上レール角度(90°)と下レール角度(82°)を微妙に変えて、図のようにわずかな隙間をつくっています。下レールが上レールを挟み込む格好で、板バネのようにクッションの役割をしているため、地震による振動を受けるほど、また荷重がかかるほど、下レールが上レールに食い込み、安定性を高めます。

さらに上段の荷重が下段の柱に直接かからず、左右のレールで受けた荷重がクッション効果によりやわらげられ、4本の柱に分散させる構造になっています。このように、ネステナーは、レールオンレール方式のため、地震に強いということが言えます。

ネステナーのレールの角度と荷重の伝わり方

足元が揺れれば、人は倒れないように揺れに対してバランスをとろうとします。この事と同じく、地震の時、構造物にクッションを入れ、揺れを自然に小さくさせるのが「制震構造」です。

「制震構造」には、パッシブ型、セミアクティブ型、アクティブ型の3種類がありますが、ネステナーは、「パッシブ型」に当てはまります。「パッシブ型」とは、あらかじめ構造物の一部に揺れ易い構造、たとえばクッション等を置き、地震の時この部分がエネルギーを吸収、または逆にエネルギーを逃がし、揺れをコントロールして本体部分の振動を制御する構造です。ネステナーの、角度の違う上レールと下レールのクッション作用が、この働きをしています。

あらかじめ揺れ易い部分、すなわち上レールと下レール部分に隙間ができて、クッション効果により共振を防ぎ、制震効果を発揮します。特別にエネルギーを加えずに制震効果を上げる事が出来るのです。

<免震構造>アンカー止めを行わないので、地震の揺れを受け流せる

ネステナーは床にアンカー止めを行わないことで、大きな揺れがあった際に全体が前後左右に床の上を滑り、また各段のレールも移動することにより、振動を受け流します。

ネステナーの免振構造

免震構造の代表的な例は、ビルやマンションが最下層に柔らかい層を作って大きな揺れを受け流すように設計を行うことが挙げられます。地震で大きく揺れても、最下層に柔らかい層があれば、その層に地震のエネルギーが集中して他の層に比べて大きく揺れます。そのため、他の層にはあまりエネルギーが伝わらず、大きな崩壊を防ぐことができます。

大きく揺れても第1層がその動きについていける構造(柔らかい層)であり、大きな変形の能力があればエネルギーを吸収し、他の階層揺れを軽減します。これが「免震構造」です。

非免振構造と免振構造

積層ゴムを利用した短い柱の上に構造物全体(ビル、マンション等)をのせたものが「免震構造」の代表的な例です。ネステナーは移動式ラックなので設置面が固定されていないため、最下層に柔らかい層を作ったのと同様の機能を発揮します。大きな揺れに対しては、ネステナー全体が前後左右に移動し、各段のレールも移動することにより、振動に対処するのです。

<耐震構造>頑丈で壊れにくい

ネステナーは柱同士が溶接でしっかり接合されているので、パレットサポートやポストパレットなどと比較し、頑丈で壊れにくい構造です。

耐震試験の実施

ネステナー振動試験

ネステナーは、平成7年1月に発生した“阪神大震災“において、お客様から「倒壊が少なく、商品を安全に保管できるラック」として、高い評価を受けました。この事実を受け、科学的な立証をするため平成11年2月、厚生労働省産業安全研究所において、「振動試験」を実施。“震度7(最大加速度455gal)で異常なし”との結果を出しました。

※この時の震度と加速度の目安は、前項表の”震度7=400gal以上”の考え方に基づいたものです。また、この試験結果は、周囲に障害物のない定盤上での試験値ですので実際の地震災害時の安全を保証するものではありません。

ちなみに、平成8年3月、同じく厚生労働省産業安全研究所にて「鉛直荷重試験」及び「水平荷重試験」を実施し、鉛直試験においてはP-MAX 116.0KN(11600kg)という高い強度を立証致しました。また、通常、ネステナーは、JIS Z0620・1977(パレットラック)に準ずる建築基準法施工令第88条5項において許されている水平震度係数最小値 K=0.1を採用し、強度計算をして製造しております。(K=0.1G G=重力 0.1G=100gal)

ネステナー耐震試験動画

神戸波3軸同時加震。ネステナーにパレット積載物500kg荷重。


※ネステナーは地震に強い構造体ですが、地震等災害全ての耐震性を保証するものではありません。

荷物だけではなく、働く人をも守るグリパッド・エコ

地震の時、ネステナーに保管している荷物がパレットごと滑って落下することがあります。いくら耐震性のあるネステナーだからといって、保管している中の荷物が落ちてしまっては意味がありません。また、多くの人が働く倉庫で荷物が落下することは、大変な危険を伴います。人命や荷物(=会社の財産)を守るためにも、保管物の落下防止対策が必要不可欠です。

商品が落下するリスクを防ぐ

グリパッド・エコ耐震試験



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自動倉庫は地震や災害に弱い?

近年の倉庫は自動化やロボットの導入が進み、倉庫業務の効率化に大きく貢献しています。しかし、災害リスクの観点で考えると停電などにより業務が停止しやすいというデメリットもあります。実際に東日本大震災の際には、自動化の進んだ倉庫ほど業務停止期間が長く、被害も大きくなりやすい傾向がみられたのです。

自動倉庫は、平時であれば問題なく運営できても、有事だと商品ひとつを取り出すのも困難で復旧の妨げになるおそれがあります。災害時でも業務を継続できるような対策が求められるでしょう。

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ネステナーはどんな倉庫で導入されているの?

ネステナーは倉庫業をはじめ、運搬業、製造業、卸・販売業など、様々な業種で導入されています。積載している荷物も機器や資材を中心に、食品、医薬品、化学品、タイヤ、家電、自転車、印刷物、産業廃棄物など、多種多様です。積載したい保管物にあわせてオーダーメイドのネステナーを製造することも可能です。お気軽にお問い合わせください。

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