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丸っこい配膳車のデザイン。こだわった曲線とくぼみの理由

温冷配膳車mogがリニューアルしてMOG smileになりました。開発期間は5年。MOG smileの開発に携わっていた村田に、デザインのこだわりについて聞きました!

2015年に開発スタート。先代からのリニューアル

――リニューアルの話が出たのは2015年ですね

そうです。1993年のESX、1995年のESLを経て、mogというブランドが誕生したのが2010年。今回、そこから約10年ぶりのリニューアルになったのですが、計画自体は2015年にスタートしています。


リニューアルにあたり課題を洗い出したら、市場で求められていることのレベルの高さがわかりました。機能性をアップして見た目をおしゃれにするというだけではなく、誰に何を届けるのかを考えなおす必要がありました。

今回のリニューアルは、単なるモデルチェンジではありません。新しい視点を盛り込んで設計しています。そのため、従来のmogから「MOG smile」へと、ブランド名も刷新しました。

ユーザーの声から、改めて気づいたこと

――中でも何にこだわったと言いたいですか?

デザインですね。

リニューアルの最大の目的は、ユーザー様の目線で作り直すことでした。そこで、配膳に関わる方の意見を集めるところから始めました。配膳車を使っている栄養士や看護師の方、配膳車を見たことがあると答えた一般の方にアンケートを行っています。その中に、私たちにはなかった視点での意見がありました。

食事をされる方、ご家族の方の「廊下に大きな機械が置いてあると鬱陶しい」「見た目に怖い感じ、圧迫感がある」というものです。

また、全国7か所の営業担当からも意見を集めました。営業は一番ユーザー様に近いところにいるので、普段からさまざまなご意見をいただいていたのです。すると、70.5%の営業担当が「先代のmogが評価されている点」をデザインだと答えました。納品した時にお客様から聞く第一声が「わ、かわいい!」らしいのです。

実は、先代mogのデザインは当時とても新しいものでした。それまでに存在していた配膳車は「車のついたピンク色の四角い箱」という印象を脱しないものだったからです。それを変えようとしたmogのデザインは、ちゃんとユーザー様に届いていたのですね。その良い点はもっと伸ばそうとなりました。

運ぶ方のために機能性を高めていくことはもちろんですが、デザインをブラッシュアップさせるにあたり、食事をされる方やご家族の方が圧迫感を感じない、空間に馴染む配膳車というデザインコンセプトになりました。


――食べる方、見守る方の視点も入れたのが新しさ!

そうです。ここまで固まってから、2015年に6案のデザインを作成し、もっともコンセプトを具現化しているアイデアを一つ選びました。

かわいいに、コンパクトとスリムをプラス

――具体的な変化はどういう点でしょう

圧迫感を減らすというコンセプトに基づいて、スリムになる工夫をしました。

MOG smileは、先代のmogより奥行きが小さくなっています。ただし、小さくなったのは2cm。温冷配膳車の大きさは、中に入れるトレイのサイズに依存しますし、保温・保冷性、強度を考えると、劇的に小さくはなりません。開発チームが努力で作った2cmです。業界最小の750mmを実現していますが、今はこれがギリギリと思います。

そこで、視覚的な効果でもっと小さく見せる方法を探しました。

まず、丸みの位置が変わりました。従来のmogは、側面(ドア側)から見た時の上部に丸みがあり、正面(ハンドル側)から見た方がシャープな形です。これを逆転させ、正面の上部コーナーに丸みを付けました。

廊下に置いた時、より多くの人の目に入るのは正面側だからです。側面を目にするのは側面に立っている間だけなので、正面を重視した方がよいと考えてのことです。


この正面パネルの中央には、両サイドの辺をシェイプさせて、緩やかなくぼみをつけました。これは2015年の時点で採用が決まっていたアイデアです。ツートンカラーになっているのは、くぼみの形状を際立たせることの他に、空間に馴染みやすいという理由があります。

――色はどのように選ばれているのですか

パネルのメインカラーは、先代mogのデータを元に、サクラピンクとココアブラウンにしました。ブルーやグリーン系は清潔感がありますが、食に関わるものは暖色系の方が食欲を増進し、ほっこりしますよね。ピンクは病院、ブラウンは介護施設で人気です。

ベージュの部分は、病院や介護施設の廊下でよく使われている色を分析しました。手すりやドアなどにすでに存在している色なので、違和感なく空間に馴染みます。

最後の最後まで、デザインを見直した

――2015年に基本デザインはあったのに、時間がかかりましたよね

時間をかけたのはデザインだけではないですが、本当にギリギリまで試行錯誤しました。

特に、最後まで議論の的になったのが正面パネル両サイドのベージュのパーツです。本当は正面パネルと一体化した方が、より立体感が出てスリムに見えるんです。第一試作は一体化したものを作りました。

しかし、メンテナンス性を考えると分離できる形が良いと判断しました。最終的には、正面パネルの両サイドに、別のパーツを差し込む形を採用しています。

コンセプトを最大限に見せられるデザインにしたいという思いがあるので、デザイナーも簡単には折れません。機械設計をする部門の人間とデザイナーとで、侃々諤々という日々でした。

――パーツを分ける理由は何ですか?

このコーナーは、一番ぶつけやすい場所だからです。病院や介護施設の廊下、エレベーターは手すりが付いていますから、下部のバンパーだけではカバーできません。

もし外装が壊れてしまっても、パーツが3つにわかれていれば、その部分だけ交換できて経済的です。病院や介護施設で働く方はお忙しいですから、修理の早さも重要です。

壊れる前提で作っていると言うと語弊があるのですが、コーナーが衝撃を吸収することは、内部の機構を守る役目も果たします。

温冷配膳車で一番大事なのは、温度を調整して守る機能です。あまり外装をガッチリ堅く作ると、衝撃が伝わって繊細な機械部分が壊れしまう。急に配膳車が壊れたらお客様はとても困りますよね。それに、そんなに堅く作ったら、ぶつけた施設の方を壊してしまう可能性があります。これは、人命を守るのが第一という自動車の設計と同じ考え方ですね。

――どうです、自信作ですか?

それはもちろん。ぜひ実機を見ていただきたいです!

温冷配膳車MOG smile
https://www.erecta.co.jp/brand/mog.html


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